私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
どちらも炯さんが持っているところを想像したら、しっくりくるんだもの。

「凛音様からの贈り物でしたら、旦那様はどちらでもお喜びになると思いますが」

「うっ」

……うん。
もういいよ。
みんな、そんなイメージなんだね……。
私もそんな気がするし。
しかし、長く使ってもらうためにも、炯さんが気に入るものをプレゼントしたいのだ。

「ううっ、悩む……」

店員にショーケースから出してもらった二本を並べ、見比べる。
黒の本体にシルバーのアクセントが入っているペンはスタイリッシュだし、上部半分が濃紺のペンもお洒落だ。
炯さんならどっちを選ぶんだろう?

「お悩みですか?」

決められずにいたら、男性店員が声をかけてきた。

「はい。
どちらも素敵で……」

「そうですね。
こちらのペンは純正品ではなくても、互換性のあるリフィルが使えるんですが、こちらのペンは純正品しか使えなくて、しかも外国製なので当店でも欠品しているときがございます。
参考になるかわかりませんが」

「いえ、ありがとうございます」

せっかくペンがあっても、インク切れですぐに手に入らないとなると困っちゃうよね。
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