私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
だったら、互換品の使える黒のほうかな。

「それじゃあ、こちらの黒のほうをください。
プレゼント用にラッピングもお願いできますか」

「かしこまりました」

店員がボールペンののるトレイを下げ、準備を始めようとする。

「あ、リフィルも一緒にいいですか」

「かしこまりました。
純正品と互換品がございますが、いかがいたしましょう?」

すぐに彼は、私の前にリフィルのパッケージを並べた。

「純正品でお願いします」

「かしこまりました。
先にお会計をよろしいでしょうか」

「はい」

ミドリさんが会計をしようと一歩足を踏み出したがそれを止め、自分の手持ちのカードで支払った。
引き落とし先はもちろん、私の口座だ。
とはいえ、お給料以外にもそれなりにお金が入っているのだが。

包んでもらっているあいだに携帯を確認する。
炯さんから返信が入っていた。

【俺が一刻も早く凛音に会いたいから、本宅に帰る。
もう、凛音切れ起こして死にそうなんだ。
でも、凛音は気にせずに寝ていていいからな】

炯さんはなにかと〝凛音切れ〟なんて言うが、あれはいったいなんなんだろう?
私にはまったく理解ができない。
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