私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
たぶん、メッセージを送って起こしたんじゃないかと気にしている。
でも、いつもは夜間、通知を切っているのに、ONにして寝たのは私だ。

ううんと首を振り、彼を促して一緒にリビングへと行く。

「できれば起きて、炯さんをお出迎えしたかったから……」

「凛音は可愛いな!」

ソファーに座り、炯さんはまた私に抱きついて口付けを落としてきた。
それが、くすぐったくて心地いい。

「でも、そういう無理はしないでいい」

そっと、私の頬に触れる彼は真剣だ。

「私も早く、炯さんに会いたかっただけですので」

手を伸ばし、彼に抱きついてその胸に顔をうずめる。
ひさしぶりに感じる、炯さんの体温。
ひさしぶりに嗅ぐ、彼の匂い。
それらが、私を満たしていく。
……そうか。
炯さんの言う〝凛音切れ〟ってこれなんだ。
私も、炯さん切れを起こしていたんだな。

「そういう可愛いことを言われると、今すぐ抱きたくなるんだけど」

私のつむじに口付けを落としながら、彼はシャツの裾から手を侵入させてきた。

「あの、お疲れなのでは?」
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