私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「いや?
飛行機の中で寝てたしな。
それより、直に繋がって充電しないとヤバいんだ」

「……ん」

彼の指が胸に触れ、甘い吐息が私の鼻から抜けていく。

「な、いいだろ?」

「あっ……」

返事など待たず、炯さんが私をソファーに押し倒す。
そのまま……。



目が覚めたが、室内はまだ暗い。

「何時……」

手探りで携帯を探し、時間を確認する。
とっくにお昼を越えていた。
そうか、遮光カーテンだから暗いんだ。

「ふふっ」

私の隣で、炯さんはぐっすり眠っている。
疲れていないなんて言っていたけれど、やっぱりお疲れだったらしい。
それにあれだけ、私を貪れば……ね。

「ん……。
凛音、起きたのか……?」

私が目覚めたのに気づいたのか、まだ眠そうに彼が瞼を開ける。

「まだ寝ていていいですよ。
私ももう少し、寝たいです」

「じゃあ、そうする……」

とろとろと炯さんの声が溶けていき、すぐに気持ちよさそうな寝息に変わっていた。
それが嬉しくて、私も身体を寄せて目を閉じる。
一緒に暮らし始めてすぐに、スミさんから言われたのだ。

『坊ちゃんが朝まで一緒に過ごす女性は初めてです』

って。

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