私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
炯さんはひとりでないと、眠れないのらしい。
だから女性を連れ込んでも、コトが終われば追い返していた。
もっとも、女性を連れ込むの自体が稀だったそうだが。

そんな彼が、私の隣でぐっすり眠っている。
これはそれだけ、私に気を許してくれているってうぬぼれてもいいよね?

「だーい好き、炯さん……」

無意識、なのか彼の腕が私を抱き寄せる。
炯さんの体温が心地よくて、私もまた眠りへと沈んでいった。



次に目が覚めたとき、炯さんは私の隣で携帯を見ていた。

「身体、つらくないか」

「はい」

少しだけ眉を寄せた彼に、笑って答える。
無理をさせたという自覚はあるらしい。

「起きたんなら、なんか食べに行くか」

「そうですね、お腹ペコペコです」

差し出された手に自分の手をのせ、ベッドを出た。

身支度をしてマンションを出る。
炯さんはホテルのアフタヌーンティに連れてきてくれた。

「こんな時間にこんなに食べたら、夕食が入らなくなっちゃいそうです……」

「そうだな、凛音は小さいから食べる量が少ないからな」

物憂げにため息をついた私を、炯さんがおかしそうに笑う。

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