私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
炯さんに伴われて家の中へと入っていく。
私を膝の上に抱き上げ、リビングのソファーに座って炯さんもご機嫌だ。

「疲れて帰ってきて、凛音を抱き締められるとか最高だなー」

口付けの雨を炯さんが降らしていく。
視界の隅でスミさんが、うふふと微笑ましそうに笑って消えていった。

「もー、仕事の疲れも一発で吹き飛ぶ」

はむ、っと彼が私の唇を食べてくる。
その大きな口は本当に私を食べちゃいそうで、どきどきとした。

「本当は出張のときも、凛音を連れていきたいけどな。
そうすれば凛音切れの心配もなくなる」

炯さんはどこまでも真剣で、そこまで?とは思う。
でも、ちょっとわかるかも。
私も炯さんが長くいないと、炯さん切れを起こしているんだとこのあいだ、自覚したし。
しかし、一緒に出張に着いていくと、お仕事休まないといけなくなっちゃうしな……。

「でも俺の出張はなかなかスリリングだからな。
それで凛音の身に危険がおよぶといけないし」

さも当たり前のように彼は言っているが、出張ってそんなに危険なものなの?
確かに父も、場所によっては傭兵を雇うと言っていたけれど。

< 127 / 236 >

この作品をシェア

pagetop