私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
おかしそうに教授がくすくすと笑い、頭が痛くなってきた……。



ケーキも食べ終わり、教授から解放される。

「凛音様、お疲れですか?」

車に乗った途端、ミドリさんが聞いてきた。

「えっ、あっ、……そう見えます?」

「はい」

そっかー、やっぱり教授との話でげんなりしているのが顔に出ているのか。

「帰ったらゆっくり休んでください」

「ありがとうございます」

疲れた顔をしていたら、炯さんが心配しちゃうもんね。
帰ってくるまでに復活しなくちゃ。

「おかえりなさいませ、凛音様」

今日も帰ったら、スミさんが迎えてくれる。

「さあさ、お茶の準備ができておりますので、ごゆっくりされてください」

「あー……」

急かすようにリビングへと誘われながら、長く発して止まった。

「今日はケーキはなしでお願いできますか?」

曖昧な笑顔を浮かべ、スミさんの顔を見る。

「あらあら、どこかお加減が悪いんですか?」

途端に彼女は眉を寄せ、私を心配し始めた。

「その。
今日は……職場で帰りにケーキをいただいて。
これ以上食べると夕飯入らなくなっちゃうかなー、って」

< 134 / 236 >

この作品をシェア

pagetop