私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
私が和装ならば基本、炯さんは紋付き袴になるわけで。

「炯さんの着物姿……」

想像するだけで顔がにやけてきちゃいそう。
背が高いし、体つきがいいから似合いそうだ。
あ、でも、袴姿もいいけれど、着流しスタイルも見てみたいなー。
でも、普段で着物を着る機会なんてないし……。

「無理、かな……」

「はーい、今行きまーす!」

ため息をついたところでシェフに呼ばれたのか、スミさんが駆けていく。
それでも諦めきれずに、今度は婚礼衣装からすらも離れ、男性の着物を検索した。

そのうち、スミさんがなにやら手に戻ってくる。

「スミさん、それ、なんですか?」

別に興味があったわけではないが、なんとなく聞いてみた。

「近くの神社でお祭りがあるので、それに協賛したお礼でございますよ」

「お祭り……?」

そんなの、聞いたことがない。
そもそも、神社があるのすら知らなかった。

「はい。
小規模なお祭りですが、屋台も出ますし花火も少しですが上がるんですよ」

「屋台……花火……」

気になるワードが出てきて耳がピクピク反応する。
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