私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
花火大会はホテルの部屋からだったり、クルーズ船からだったりで経験はある。
しかし、屋台は未経験なのだ。
これは是非、行きたい。
それに夏祭りデートなら、炯さんの浴衣姿が拝めるのでは?

「お祭りっていつですか!?」

「一ヶ月半後くらいでございますね」

私が喰い気味でスミさんは笑っているが、気にならない。
携帯を操作して炯さんのスケジュールを確認した。
今のところは、出張は入っていない。
しかしまだ先の話なので、変更になるかもしれないが。

「うーん」

少し悩んで、スミさんから聞いたお祭りの日に【お祭り、デート】と書き込んでおいた。
さりげないお誘いだけれど、炯さん気づいてくれるかな?
あとは浴衣を準備して炯さんを驚かせたい。
実家から持ってきたのはあるが、できれば新調したいな。
それよりも、炯さんの浴衣だ。

「スミさん。
炯さんは浴衣を持ってますか?」

「坊ちゃんですか?
お付き合いで作ったのがいくつかあったような……?」

だったら炯さんの浴衣は解決かな?
私の浴衣はどうしよう……。

「そうですわ」

なにかを思いついたかのように、スミさんがぽんと手を打つ。

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