私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
うん、仕方ないとも。

明日、私が仕事から帰ってくる頃になじみの呉服店に来てもらうように、スミさんが手配してくれた。
楽しみだな。

「凛音、祭りデート、OKだ!」

帰ってきた途端、炯さんに抱きつかれて熱烈にキスされた。

「えっ、あの、ご無理はなさらないでいいので……」

「凛音からの誘いでデートするなら、無理するに決まってるだろ」

炯さんはかなり本気っぽいが、本当に無理はしないでいただきたい。

「スミ。
すぐに浴衣の手配だ」

「もう手配済みでございます」

得意げにスミさんが笑う。
そうか、どのみちお祭りデートなら、炯さんが浴衣を買おうとするのか……。

夕食のあとも、炯さんはご機嫌だった。

「もう、この日は絶対に出張を入れるなと命じてあるし、トラブルを起こしたヤツはクビだと言ってあるからな」

炯さんは真剣で、どこまでが冗談なのかわからない。
とりあえずクビになる人が出ないように祈ろう。
それでも、そこまで楽しみにしてくれているのは嬉しかった。

「凛音と祭りデートか、楽しみだな。
楽しみすぎて今から眠れなさそうだ」

「私も同じです」

楽しい、私たちのデートの約束。
きっといい想い出になると思っていたんだけれど……。

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