私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「だろ?
最近の音楽の教科書には、J-POPがけっこう載ってるからな。
じゃ、入れるぞ」

少しして音楽が流れだし、マイクを握る。
そうか、学生時代に習った曲を入れればいいのか。
そう気づき、急に気が楽になった。

その後、二時間ほどカラオケを堪能させてもらった。

「大きな声を出して歌うのって、気持ちいいですね」

音楽の授業以外で、こんなに思いっきり歌ったりしない。
これはたまに気分転換に来たいところだが、もう来られないのは残念だな。

「お気に召していただけたんならよかった」

からかうようにコマキさんが、にやっと笑う。

「コマキさん、歌がお上手なんですね」

私ひとりに歌わせるのはなんだしと時々コマキさんも歌ったが、これが惚れ惚れするほど上手いのだ。

「まあ、嗜む程度には?」

彼は笑っているが、こんな彼はきっとモテるんだろうなと思った。



カラオケのあとは、クレープを食べにいく。

「いろいろ種類があって迷っちゃう……」

イチゴは王道だが、チョコバナナも悩む。
さらにツナとかハムとか、お食事系も気になった。

「食べたいのをふたつ選べ。
俺とシェアすればいいだろ」

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