私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「そうだな。
俺は明るい色味の可愛らしいのが凛音には似合うと思っていたんだが……」
一度言葉を切った彼が、反物へと目を向ける。
「こういうシックなものを着た凛音も見てみたい」
レンズの向こうから彼が視線をあわせてくる。
そのままちゅっと私に軽くキスをした。
「……人前禁止、です」
恨みがましく彼を軽く睨みつける。
女性スタッフが頬を赤らめ、気まずそうに目を逸らしていた。
「いつもしてるだろ?」
しかし炯さんはしれっと言って、さらに唇を重ねてくる。
確かにスミさんやミドリさんのいる前でいつも、キスしてますけど!
でも、彼女らはもうそれが日常になっているし、私も半ば壁だと割り切っているのでまあいいが、外部の人間は違うのだ。
「お外の人間がいるときはダメです」
「そうか。
残念」
とか言いつつ、さらに彼は唇を重ねてきて、まったく理解していない。
気を取り直して浴衣を選ぶ。
「凛音に似合うのだろ……」
炯さんは真剣に浴衣を見ている。
「これはどうだ?」
彼が手に取ったのは白地に黒の格子がバランスよく配置され、それに赤の椿が散らしてあるものだった。
「これに黒の帯を締める」
俺は明るい色味の可愛らしいのが凛音には似合うと思っていたんだが……」
一度言葉を切った彼が、反物へと目を向ける。
「こういうシックなものを着た凛音も見てみたい」
レンズの向こうから彼が視線をあわせてくる。
そのままちゅっと私に軽くキスをした。
「……人前禁止、です」
恨みがましく彼を軽く睨みつける。
女性スタッフが頬を赤らめ、気まずそうに目を逸らしていた。
「いつもしてるだろ?」
しかし炯さんはしれっと言って、さらに唇を重ねてくる。
確かにスミさんやミドリさんのいる前でいつも、キスしてますけど!
でも、彼女らはもうそれが日常になっているし、私も半ば壁だと割り切っているのでまあいいが、外部の人間は違うのだ。
「お外の人間がいるときはダメです」
「そうか。
残念」
とか言いつつ、さらに彼は唇を重ねてきて、まったく理解していない。
気を取り直して浴衣を選ぶ。
「凛音に似合うのだろ……」
炯さんは真剣に浴衣を見ている。
「これはどうだ?」
彼が手に取ったのは白地に黒の格子がバランスよく配置され、それに赤の椿が散らしてあるものだった。
「これに黒の帯を締める」