私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
担当の方に誘われてフィッティングルームへ入る。
当日のメイクなどもするとあって、簡単にだが髪も結ってくれた。
「……どう、ですか……?」
着替えて、おそるおそる炯さんの前に出る。
オフショルダーのシンプルなところが気に入ったんだけれど、どうだろう?
「……綺麗だ」
瞬間移動でもしたんじゃないかという速さで炯さんが私の前に立つ。
彼の手が私の顎にかかり、レンズ越しに無理矢理、視線をあわせさせる。
「美しすぎて何度でも求婚したくなる……」
艶やかに光るオニキスが私を見ている。
徐々に傾きながら顔が近づいてきて目を閉じた……ものの。
「お外でキスは禁止です」
ここは家ではないのだと思い出し、彼の顔を手で押さえた。
「誰も見てなければいいんだろ?」
右の口端を持ち上げ、にやりと意地悪く炯さんが笑う。
そろりと見渡したあたりには彼が人払いしたのか、スタッフはひとりもいなかった。
なら、いいのか?
いやいや……。
しかし私が逡巡しているうちに炯さんは唇を重ねてきた。
……軽いキスくらいなら、まあ。
なんて考えた私が甘かった。
「んん……っ」
当日のメイクなどもするとあって、簡単にだが髪も結ってくれた。
「……どう、ですか……?」
着替えて、おそるおそる炯さんの前に出る。
オフショルダーのシンプルなところが気に入ったんだけれど、どうだろう?
「……綺麗だ」
瞬間移動でもしたんじゃないかという速さで炯さんが私の前に立つ。
彼の手が私の顎にかかり、レンズ越しに無理矢理、視線をあわせさせる。
「美しすぎて何度でも求婚したくなる……」
艶やかに光るオニキスが私を見ている。
徐々に傾きながら顔が近づいてきて目を閉じた……ものの。
「お外でキスは禁止です」
ここは家ではないのだと思い出し、彼の顔を手で押さえた。
「誰も見てなければいいんだろ?」
右の口端を持ち上げ、にやりと意地悪く炯さんが笑う。
そろりと見渡したあたりには彼が人払いしたのか、スタッフはひとりもいなかった。
なら、いいのか?
いやいや……。
しかし私が逡巡しているうちに炯さんは唇を重ねてきた。
……軽いキスくらいなら、まあ。
なんて考えた私が甘かった。
「んん……っ」