私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
強引に唇を割って彼がぬるりと入ってくる。
さすがに離れようとしたが、ぐいっと腰を抱き寄せられる。
ダメだとわかっているのに熱を移され、彼を求めていた。
それでも太ももを撫でられて我に返る。

「……それは、ダメです」

「残念」

私に手を掴まれ、彼が離れる。

「じゃあこれは、帰ってからたっぷりと、……な」

彼の手がそっと私の頬に触れる。
じっとレンズ越しに私の目を見つめたまま、自身が濡らした唇を炯さんが親指で拭う。
含みを持たせて言い、彼は薄く笑みを唇にのせた。
その妖艶な顔を見た途端、頭がボン!と爆発した……気がした。

「おっと!」

くったりと崩れ落ちそうになった私を、炯さんが慌てて支えてくれる。
顔が燃えるように熱い。
あれは絶対、反則だ。

「それともこのまま帰るか?」

にやりと彼が意地悪く笑う。
それにはさすがに、カチンときた。

「けっこうです!」

半ば炯さんを突き飛ばし、自分の足で立つ。

「そうか、残念」

私は怒っているというのに、炯さんはニヤニヤ笑っていて全然効いていない。
やっぱり彼から見て私は、お子様なんだろうか……。

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