私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
話す声は泣き出しそうで、私のほうが泣きたくなる。

「だから、いいんですって」

「でも……」

そうか、きっと私からなにか罰せられない限り、炯さんの後悔は続くんだ。
だったら。

「お祭りデートで豪遊させてください。
屋台ってなにがあるのか調べたら気になるものがいっぱいで、私のお給料だけじゃ足りそうにないので」

わざと、おどけて笑って彼の顔を見る。
炯さんは拍子抜けしているようだった。

「そんなんでいいのか?
アクセサリーでもバッグでも……」

「いいんですよ」

「んっ」

高級な贈り物を提案する彼の鼻を摘まみ、それを封じる。

「私と炯さんは悪い子仲間でしょ?
だったら、これでいいんです」

「そうだな」

笑いかけると、ようやく炯さんも笑ってくれた。
そのまま、当日の相談をあれこれする。
……やっと、わかった。
炯さんは私が思っているよりも、もっとずっと深く、私を愛してくれているんだって。
だからあんなにも、激しく嫉妬した。
大好きな私の炯さん。
彼を愛するこの気持ちも、彼に伝わっていたらいいな……。

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