私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
かなり彼女はお怒りの様子で、私の想像からはかけ離れていた。
もしかしたらまた、面白がられるんじゃないかと思っていたのだ。
しかし、彼女なりにやっていい行為と悪い行為はしっかり線引きされているらしい。
そこはちょっと、好感度が上がった。

「抗議しなよ、抗議」

「一応、副館長には相談したんですけど……」

しかし、恋愛は個人の問題だから口出ししないと、相手にしてもらえなかったことを話す。

「なにそれ!
そりゃ、下手に問題になるのが困るのもわかるけどさー。
なんだかんだいっても副館長だって、うちら派遣と同じような立場だし」

「そう、ですね……」

私たち下っ端は派遣だし、管理職もほとんどが委託業者からの出向だ。
そういう立場なので、正規の大学職員よりもさらに学内での地位が低かった。

「それでも酷い。
上司って私たちを守るためにいるんでしょ?
なのに職員がセクハラされたのに無視とかさ」

「ですよね!」

これは、私が我慢しなければならない案件かと思っていた。
私が世間知らずなだけで、本当はこれが当たり前なんじゃないかとすら疑った。
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