私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「ああ。
一時期、妹から毎日のように付き合わされたんだ。
最後のほう、もう勘弁してくれって思ってたね」

そのときを思い出しているのか、彼が憂鬱なため息をつく。
でも、そう思いながらも律儀に付き合っている彼が容易に想像できて、微笑ましくなった。



「次はー、ゲーセンか?」

「そうですね」

彼と並んで歩き、街中を移動する。
それすらも私には新鮮で、つい周りを見渡していた。
少し移動し、ゲームセンターに到着する。

「で、なにする?」

「なに……?」

漠然と来てみたいという憧れはあったが、ここでなにをするのか私はよく知らない。
なので尋ねられて、戸惑った。

「あー、そんな感じ?
わかった」

ひとりで納得し、彼は私の手を引いて店内を歩いていく。

「なんか欲しいのないか」

「欲しいの……?」

言われて、周囲の大きなボックスの中には、ぬいぐるみやお菓子が詰んであるのに気づいた。
欲しいのとはこれらのことだろう。

「あっ。
じゃあ、あれが欲しいです」

私が指した先のボックスには、ポテトチップスの巨大な袋が並んでいた。
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