私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
午後からは……ベーデガー教授のところへお届けが入っていた。
「あの。
誰か代わってもらえませんか?」
彼とふたりっきりとか絶対になりたくない。
事務所にいる人たちに声をかける。
「それ、城坂さんの仕事でしょ?
私たちが行っても、ベーデガー教授の話し相手はできないし」
すぐにひとりが顔を上げ、素っ気なく私に言ってきた。
私の仕事にはベーデガー教授専任だとか、ましてや彼の話し相手だとかはない。
事実上、そうなっている部分はあるけれど。
ちらりと奥に座る副館長をうかがうが、さっと目を逸らされた。
今朝、あんな報告をしてきた女性職員をひとりで加害者の元へ行かせるなんて、正気なんだろうか。
「あ、私が一緒に……」
「島西さんは急ぎの仕事、まだ終わってないでしょ?
それにあれくらい、ひとりで持てる」
「うっ」
せっかく島西さんが助け船を出そうとしてくれたのに、先輩スタッフに止められた。
島西さんは私に視線を向けて片手で軽く謝ってきたが、気にしないでと私も首を横に振る。
その気遣いだけでもありがたい。
「早く行ってきてよ。
まだ仕事、あるんだし」
「……はい」
「あの。
誰か代わってもらえませんか?」
彼とふたりっきりとか絶対になりたくない。
事務所にいる人たちに声をかける。
「それ、城坂さんの仕事でしょ?
私たちが行っても、ベーデガー教授の話し相手はできないし」
すぐにひとりが顔を上げ、素っ気なく私に言ってきた。
私の仕事にはベーデガー教授専任だとか、ましてや彼の話し相手だとかはない。
事実上、そうなっている部分はあるけれど。
ちらりと奥に座る副館長をうかがうが、さっと目を逸らされた。
今朝、あんな報告をしてきた女性職員をひとりで加害者の元へ行かせるなんて、正気なんだろうか。
「あ、私が一緒に……」
「島西さんは急ぎの仕事、まだ終わってないでしょ?
それにあれくらい、ひとりで持てる」
「うっ」
せっかく島西さんが助け船を出そうとしてくれたのに、先輩スタッフに止められた。
島西さんは私に視線を向けて片手で軽く謝ってきたが、気にしないでと私も首を横に振る。
その気遣いだけでもありがたい。
「早く行ってきてよ。
まだ仕事、あるんだし」
「……はい」