私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
ポテトチップスなんて憧れの食べ物、しかもあの大きさならかなり食べ甲斐があるだろう。

「わかった」

短く頷き、彼はその前に立って機械に小銭を投入した。
手元のボタンを操作するにつれて、上部に取り付けられたクレーンが移動する。
それはポテチの袋へと下りてきて、それを掴んだ。
上がっていく袋を、なぜか息を詰めて見つめる。
しかしそれは少し移動したものの、落ちてしまった。

「ああっ」

つい、落胆の声を漏らしてしまう。

「まあ、見てろって」

再び彼がボタン操作を始め、クレーンの行方をじっと見送った。
今回は取り出し口の上まで到達し、落ちてくる。

「ほら」

出てきたポテチを渡してくれた彼は、自信満面だった。

「凄い!
凄いです!」

大興奮でそれを受け取る。

「他に欲しいのはないか?」

「えっと……」

きょろきょろと周囲を見渡し、小さい頃にお気に入りだった絵本の、ウサギのキャラのぬいぐるみを見つけた。

「あれが欲しいです!」

コマキさんの手を引っ張り、ぐいぐいとそちらへ連れていく。

「今度は私がやってもいいですか!?」

「いいよ」

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