私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
なぜか炯さんは置いてある電話の受話器を取り、誰かと話し始めた。
「今朝、送られてきた資料があっただろ?
あれと空いてるパソコン持ってきてくれ」
私になにかさせる気だというのはわかったが、なにをさせようと?
すぐに背の高い、銀縁眼鏡のインテリイケメンがノートパソコンとファイルを抱えてやってきた。
この人は知っている、炯さんの秘書さんだ。
「どうなさるおつもりですか?」
秘書さんは怪訝そうに炯さんへそれらを渡した。
「凛音に訳させる」
「……は?」
仲良く秘書さんと同時にひとこと発し、固まった。
「本気ですか?」
まじまじと秘書さんが炯さんを見る。
それは私も同じ気持ちだった。
「本気だが?」
しかし炯さんはドヤ顔で、秘書さんは軽く額に指先を当て、痛そうに頭を何度か振った。
「採用試験みたいなもんだ。
秘書室にもうひとりくらい、欲しいって言ってただろ?」
「確かに言いましたが……」
眼鏡の奥から秘書さんの視線がちらりと私に向く。
彼の気持ちはよくわかった、こんな世間知らずのお嬢様になにができるのかと言いたいのだろう。
私だってそう思う。
「今朝、送られてきた資料があっただろ?
あれと空いてるパソコン持ってきてくれ」
私になにかさせる気だというのはわかったが、なにをさせようと?
すぐに背の高い、銀縁眼鏡のインテリイケメンがノートパソコンとファイルを抱えてやってきた。
この人は知っている、炯さんの秘書さんだ。
「どうなさるおつもりですか?」
秘書さんは怪訝そうに炯さんへそれらを渡した。
「凛音に訳させる」
「……は?」
仲良く秘書さんと同時にひとこと発し、固まった。
「本気ですか?」
まじまじと秘書さんが炯さんを見る。
それは私も同じ気持ちだった。
「本気だが?」
しかし炯さんはドヤ顔で、秘書さんは軽く額に指先を当て、痛そうに頭を何度か振った。
「採用試験みたいなもんだ。
秘書室にもうひとりくらい、欲しいって言ってただろ?」
「確かに言いましたが……」
眼鏡の奥から秘書さんの視線がちらりと私に向く。
彼の気持ちはよくわかった、こんな世間知らずのお嬢様になにができるのかと言いたいのだろう。
私だってそう思う。