私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「金魚掬い!
ヨーヨー釣りもやってみたいです」
「わかった」
片付けをしてまた屋台を見て回る。
酔ってはいるが、歩くのに支障があるほどではない。
金魚掬いは……全然掬えなかった。
「ん」
お金を寄越せと手を出す。
「はいはい」
呆れ気味に炯さんはその手に小銭を握らせてくれた。
あ、これ、懐かしいな。
炯さんと初めてゲームセンターへ行った日、あのときも彼はこうやって私に小銭を握らせてくれた。
それから彼は婚約者へ、もうすぐ旦那様へと代わる。
あのときはもう二度と会えないんだろうなとしか思っていなかった。
「とれたー!」
その後、五回ほどチャレンジし、ようやく今日の浴衣の椿と同じ、真っ赤な金魚が掬えた。
「可愛いですね」
目の高さまで上げた袋の中では、赤と黒の二匹の金魚が泳いでいる。
黒のデメキンはおじさんがサービスで入れてくれた。
「そうだな」
彼はおかしそうにくつくつ笑っているが、もしかして私と同じようにあのときの諦めの悪い私を思い出しているんだろうか。
その後もヨーヨー釣りをし、私の手はいっぱいになっていた。
「はぐれるなよ」
「はい」
ヨーヨー釣りもやってみたいです」
「わかった」
片付けをしてまた屋台を見て回る。
酔ってはいるが、歩くのに支障があるほどではない。
金魚掬いは……全然掬えなかった。
「ん」
お金を寄越せと手を出す。
「はいはい」
呆れ気味に炯さんはその手に小銭を握らせてくれた。
あ、これ、懐かしいな。
炯さんと初めてゲームセンターへ行った日、あのときも彼はこうやって私に小銭を握らせてくれた。
それから彼は婚約者へ、もうすぐ旦那様へと代わる。
あのときはもう二度と会えないんだろうなとしか思っていなかった。
「とれたー!」
その後、五回ほどチャレンジし、ようやく今日の浴衣の椿と同じ、真っ赤な金魚が掬えた。
「可愛いですね」
目の高さまで上げた袋の中では、赤と黒の二匹の金魚が泳いでいる。
黒のデメキンはおじさんがサービスで入れてくれた。
「そうだな」
彼はおかしそうにくつくつ笑っているが、もしかして私と同じようにあのときの諦めの悪い私を思い出しているんだろうか。
その後もヨーヨー釣りをし、私の手はいっぱいになっていた。
「はぐれるなよ」
「はい」