私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
このまま付き合っていたら、好きになっていたかもしれない。
その時間がないのが、酷く惜しかった。

「……茜」

甘い重低音が私の鼓膜を震わせる。
すぐに熱い唇が重なった。
何度か啄んだあと、親指が顎を押し、唇を開かせる。
その隙間からすぐに、肉厚なそれがぬるりと入ってきた。
どうしていいのか戸惑っていたら、彼が舌を絡めてくる。

……なに、これ。

気分がふわふわとし、頭がじんじんと痺れる。
私の知らない、感覚。

……コマキさんの熱、移される。

頭がぼーっとして、なにも考えられない。
自然と私からも、彼を求めていた。
最後に私の舌を唾液ごと吸い上げ、彼が離れる。

「とろんとした顔して、可愛いな」

軽く唇を触れさせた彼の手が、私の服にかかる。
そのままされるがままに服を脱がされた。

「綺麗だな」

ふっと薄く笑い、眼鏡を置いた彼が覆い被さってくる。

「なにも心配しなくていい、ただ俺に身を任せてろ」

そのまま――。

コマキさんが最後の砦を取り去り、生まれたままの姿にされる。

「恥ずかしい……」

小さく身体を丸めようとしたが、彼はそれを拒んできた。

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