私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「あの、ね?
身体が、炯さんの赤ちゃん、欲しい、って。
だから、ね?」

身体が、炯さんの赤ちゃんを待ち望んでいるのがわかった。
だったら、今だと思う。

「凛音」

少し低い声は、怒っている。
そうだよね、式どころか入籍もまだなのに、赤ちゃんできたら困るよね。

「あ、あの……」

感情に突き動かされ、考えなしだった自分が情けない。
謝ろうとしたものの。

「だからー、そういう可愛いこと言って、俺を煽んないの」

あやすように軽く、彼の唇が額に触れる。

「俺も早く、赤ちゃんが欲しい」

「ああっ」

なにも纏わないまま、ゆっくりと炯さんが入ってくる。
たった一枚、薄い膜がないだけなのに、いつもよりも彼を感じた。

口付けを続けながら、彼が腰を動かす。
もう、限界が近い。
目で訴えると炯さんは、私の両手を、指を絡めて握ってくれた。

「いいよ、イって」

「んあーっ!」

最奥の部屋に侵入するかのように強く撞かれた途端、背中が仰け反り身体がガクガクと震えた。
同時に勢いよく、温かいものが私の中に吐き出されるのを感じる。
ずるりと彼が出ていき、白い欲望が花びらのあいだからとろりと流れ落ちた。

< 230 / 236 >

この作品をシェア

pagetop