私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「ちょっと窮屈だなとか思うだろうけど。
パパもママも璃奈に怖い思いをさせたくないだけなの。
だから、我慢して?」

「……うん」

まだ幼い璃奈に理解できないのは仕方ない。
私だって璃奈と同じくらいの頃は、なんで自分はまわりと違うんだろうって不思議だった。

「ママもね。
小さい頃はひとりでなにもさせてもらえなかった。
幼稚園のお友達のところにも遊びに行かせてもらえなかったんだよ?」

「うそだー」

完全に璃奈は、疑いの目を私に向けている。
そうだよね、信じられないよね。
璃奈は警護付きとはいえ、行きたいと言ったときはなるべく行かせてあげるようにしているもの。

「でもね、パパはなるべく、璃奈にいろいろなことをやらせてあげたい、って。
だから今日だって、無理してきたんだよ」

今日のキャンプはグランピングではなく、一般キャンプ場での普通のキャンプだ。
危険はないか、事前に調査した。
今日も数人、見えないところに周囲に警備員を配置してある。
そこまでして炯さんは璃奈にキャンプを――悪い遊びをさせたかったのだ。

「だから、ね。
パパにさっきはごめんなさいって謝ろう?」

「……うん」

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