私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
ここまで言っても璃奈は渋々で苦笑いしてしまう。
子供なんだから理解できなくても仕方ないよね。
でもきっと大きくなったら、パパがいかに璃奈を大事にしてくれていたのかわかるよ。

「準備できたぞー」

「はーい!
ほら、いこ」

炯さんに呼ばれ、璃奈を連れて車を降りる。
彼が待っている場所にはテントが立ち、ばっちりキャンプの準備ができていた。

「すごーい!」

目をキラキラさせて早速テントに入り、璃奈は珍しそうに中を見渡している。

「今日はここで寝るんだぞー、楽しみだな」

さっきまでの不機嫌はどこへやら、璃奈はご機嫌にうんうんと頷いていた。

昼間は川遊びをし、夜はカレーを作る。

「ママ、料理なんてできるの?」

「失礼な。
ママだって一応、できますよー」

シェフが休みの日、簡単な料理くらいできたほうがいいかなと、シェフに頼んで教えてもらったのだ。
とはいえ璃奈を身ごもってからはつわりが酷く、そのあとも子育てでバタバタしていて、料理はひさしぶりだが。

「えっと……」

シェフに書いてもらった手順を確認しながら準備を進める。
彼曰く、「書いてあるとおりに作れば猿でも作れます」らしいので、なんとかなるだろう。
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