私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「もう、入りましたか……?」

「まだ、先っちょだけだ」

困ったように笑い、コマキさんは軽く口付けしてきた。

「ううっ……」

これでまだ先端だけなんて、先はまだまだ長くて挫けそうだ。

「ゆっくり、深呼吸しろ」

促すように彼が私の頭を撫でる。
頷いて言われるように深呼吸しようと努力した。
それにあわせて、徐々に彼が侵入してくる。

「痛いっ……!」

さらに少し進められたところで、激しい痛みが私を襲ってきた。

「いたっ、痛い……」

「やめるか?」

私が痛がり、コマキさんはきつく眉根を寄せて聞いてくれた。
それに涙目で首を振る。

「大丈夫、だから。
続けてください」

正直に言えば、我慢するのがやっとなくらい、痛い。
でも、これは私が、何者にも支配されず私としてやった行為の証し。
だから、最後までやりとおしたかった。

「わかった」

さらに気遣うように、彼が慎重に腰を進める。

「茜」

軽く頬を叩かれ、知らず知らずまた、きつく閉じていた目を開けた。

「全部、入った」

安心させるかのように、コマキさんが私に微笑みかける。

「……はい」

< 24 / 236 >

この作品をシェア

pagetop