私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
なんだか私も嬉しくて、自然と笑顔になっていた。

私を気遣いながら、ゆっくりと彼が身体を動かす。
私の身体はいまだじくじくと痛んでいたが、先ほどまでの激しい痛みはなかった。
あとは終わるまで、耐えればいい。
そう、思っていた、が。

「ああっ」

痛みが治まるにつれて、甘美な疼きが私を襲ってくる。

「気持ちいい、か」

その問いには答えられず、枕をきつく握りしめた。

……ダメだ、これ。
頭、おかしくなる……!

「……手」

「ん?」

「手、手を握ってください……!」

「いいよ」

さっきと同じように、今度は両手を握ってくれる。
それで安心できるのは、刷り込みなんだろうか。

「イっていいよ、茜」

促すように彼の動きが速くなっていく。
自分でも、そのときが近いのがわかった。
――そして。

「あっ、あっ、ああーっ!」

身体がこわばり、悲鳴じみた声を上げる。
次第に身体から力が抜け、視界が戻ってくる。

「満足したか」

「……はい」

これ以上ないほどの満足感が私の身体を支配する。
結婚前の女性が男性と関係を持つなんて、両親は激怒するだろう。
わかっていて、やった。
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