私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
そうしたかった。

「コマキさん。
……好きです」

好意はあるが、この言葉に愛だの恋だのはない。
ただ、私は素敵な殿方と恋がしたいという願いを叶えたかったのだ。

「俺も茜が好きだよ」

きっと彼もそれをわかっている。
わかっていて、付き合ってくれる彼は優しい。
私が普通の一般人なら彼との恋もこれからあったかもしれないのにな。

「おやすみ」

優しい口付けを最後に、私の意識は眠りの帳の向こうへと閉ざされた。

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