私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
もしかしたらそれで、あまり叱られずに済んだのかもしれない。
こうして一週間後、改めてお見合いとなったわけだが、なぜか私の前には灰谷炯という名のコマキさんが座っている。
……もしかして、よく似た他人とかないよね?
はじめましてって言っていたし。
よくよく自分の前に座る人物の顔を見る。
上部が太いメタルハーフリム眼鏡も長めのスポーツカットも同じだが、それだけで判断してはいけない。
けれど何度見てもその顔はあの日、私を連れ出してくれた彼そのものだ。
いや、一卵性の双子という可能性も捨てきれないが。
しかし本当にコマキさんだとすれば、急に都合が悪くなってお見合いが延期になったのも頷ける。
「それでは、うちの娘をよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
笑顔を貼り付けて聞かれたことにだけ答えているうちに、お見合いは成立していた。
まあもっとも、私に拒否権なんてないんだけれど。
「すみません、少々凛音さんをお借りしても?
これからの相談をしたいものですから」
「ああ、そうですね。
いいよな、凛音?」
「はい」
父から聞かれて、承知した。
こうして一週間後、改めてお見合いとなったわけだが、なぜか私の前には灰谷炯という名のコマキさんが座っている。
……もしかして、よく似た他人とかないよね?
はじめましてって言っていたし。
よくよく自分の前に座る人物の顔を見る。
上部が太いメタルハーフリム眼鏡も長めのスポーツカットも同じだが、それだけで判断してはいけない。
けれど何度見てもその顔はあの日、私を連れ出してくれた彼そのものだ。
いや、一卵性の双子という可能性も捨てきれないが。
しかし本当にコマキさんだとすれば、急に都合が悪くなってお見合いが延期になったのも頷ける。
「それでは、うちの娘をよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
笑顔を貼り付けて聞かれたことにだけ答えているうちに、お見合いは成立していた。
まあもっとも、私に拒否権なんてないんだけれど。
「すみません、少々凛音さんをお借りしても?
これからの相談をしたいものですから」
「ああ、そうですね。
いいよな、凛音?」
「はい」
父から聞かれて、承知した。