私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「お仕事なら仕方ないのはわかっていますから、大丈夫ですよ。
それに、スミさんもいますし」

甘えるようにこつんと、軽く肩を彼にぶつけた。
このあいだだってあんなに詫びてくれた。
彼がこの件についてもう、気にする必要はない。

「すまないな」

それに、ううんと首を振った。

「それで。
俺がいないあいだ、凛音はなんでも悪いことをしていいからな。
といっても、常識の範囲内で、だが」

「ほんとですか!?」

炯さんの両手を握り、ついそれに食いついていた。

「ああ」

私の剣幕がおかしかったのか、炯さんは笑っている。
さらに近づいていた私へ、軽く唇を重ねた。

「……スミマセン」

興奮するあまり、それほどまでに彼に顔を近づけていた自分が恥ずかしくて、ソファーの上で小さくなった。

「いや?
そういう凛音、可愛くていいと思う」

あやすように今度は額に、彼が口付けを落としてくる。
それでますます、顔が上げられなくなった。

「それで。
出かけるときはミドリに頼んでくれ。
運転もしてくれる」

「わかりました」

「カラオケでもゲーセンでも好きに行っていいからな。
ミドリはそういう遊びが得意だ」

ちょっぴり意地悪く、炯さんが笑う。
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