私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
まるで大型犬でも撫で回すかのように、わしゃわしゃと乱雑に炯さんは私の頭を撫でてきた。

「そうか、わかった。
でも就職先が決まったら教えてくれ?
万が一にもブラック企業だったら困るからな」

「あっ、はい!」

それくらいの気遣いは妥当だと思うので、従おう。

「それから。
これは凛音の新しい携帯」

私の手を取り、炯さんは携帯をのせた。

「新しいの、ですか?」

今使っているのは半年ほど前に機種変したので、別に困ってなんかないんだけれどな……?
「そ。
これからはこれで、なんの制限もなく使ったらいい」

「なんの制限もなく……?」

それって……。

「好きなアプリを入れられるってことですか?」

「そうだ」

「チャイルドロックもかかってない?」

「もちろん」

優しげに微笑んで彼が頷く。
途端に手の中の携帯が宝石かのように輝いて見えた。

「新しい携帯!」

これからは、スマートフォンを持っているのに電話とNYAIN、それに数個の生活アプリしか使えないとかないんだ!
「ゲームをしてもいいんですか?」

「ああ」

「インターネットでいろいろ調べても?」

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