私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
いちいち炯さんに尋ねて手を煩わせるより、自分で確認できるんだったらいいかも。

「俺も凛音のだいたいのスケジュールを把握していたら、急に時間ができたときとかに凛音をデートに誘いやすい」

「デート……」

そうか、夫婦になるんだから、デートしたりするんだ。
認識した途端に、みるみる顔が熱くなっていく。
え、デートってなにするんだろう?
手を繋いでお買い物とか?
それで、雰囲気のいいところでキスしたり……。

「きゃーっ」

熱を持つ頬を両手で押さえ、いろいろ想像してしまう。

「えっと。
凛音、さん?」

困惑気味の声が聞こえてきて、意識が妄想デートから戻ってきた。
目の前には苦笑いの炯さんが見え、急に恥ずかしくなって小さくなった。

「ス、スミマセン」

「別に?
近いうちに凛音の期待しているような、デートもしような」

彼が、私に向かって片目をつぶってみせる。
それで、私はもう、限界、で。

「きゅー」

くたくたと彼の腕の中に崩れ落ちていた。


夕食はシェフが休みだし、早速デートに行きますかと街に連れ出してくれた。

「さて、凛音。
夕食はなにが食べたい?」

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