私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
まだ私には彼が言いたいことがわからなくて、続く話を待った。
「それにもし、あのとき凛音が見合いが嫌だと答えていたら、速攻で見合いもせずに断って、帰っていたと思うしな」
「え……」
ますますなにが言いたいのかわからない。
そんな私を炯さんはおかしそうに笑っている。
「断るつもりだった俺がいうのはなんだが、俺たちの結婚にはたくさんの人間の将来がかかっている。
なのに親の選んだ人間と結婚するのは嫌、とか自分勝手な阿呆なら、願い下げだ」
苦々しげに彼が吐き捨てる。
もしかして、今までそういう人間がいたんだろうか。
「それはわかっています。
だってそのために今まで贅沢をさせてもらってきたわけですし」
「凛音はほんとにいい子だな」
炯さんの手が伸びてきて、私の頭の上にのる。
眼鏡の下で目尻を下げ、くしゃくしゃと柔らかく彼は私の頭を撫でた。
その幸せそうな顔に、一気に酔いが回ったかのように顔が熱くなった。
「凛音の、悪いことがしたかった、ほんの少しでいい、外の世界を楽しんでみたかったって願いが、いじらしくて叶えてやりたくなったんだ」
ゆっくりと炯さんの手が離れていく。
「それにもし、あのとき凛音が見合いが嫌だと答えていたら、速攻で見合いもせずに断って、帰っていたと思うしな」
「え……」
ますますなにが言いたいのかわからない。
そんな私を炯さんはおかしそうに笑っている。
「断るつもりだった俺がいうのはなんだが、俺たちの結婚にはたくさんの人間の将来がかかっている。
なのに親の選んだ人間と結婚するのは嫌、とか自分勝手な阿呆なら、願い下げだ」
苦々しげに彼が吐き捨てる。
もしかして、今までそういう人間がいたんだろうか。
「それはわかっています。
だってそのために今まで贅沢をさせてもらってきたわけですし」
「凛音はほんとにいい子だな」
炯さんの手が伸びてきて、私の頭の上にのる。
眼鏡の下で目尻を下げ、くしゃくしゃと柔らかく彼は私の頭を撫でた。
その幸せそうな顔に、一気に酔いが回ったかのように顔が熱くなった。
「凛音の、悪いことがしたかった、ほんの少しでいい、外の世界を楽しんでみたかったって願いが、いじらしくて叶えてやりたくなったんだ」
ゆっくりと炯さんの手が離れていく。