私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
おかしそうにくすくすと笑いながら、まだ荒い息をしている私の髪を撫でてくれる。

「だって」

彼に手を握られると、全部を任せていいんだって気になれて、安心して達せた。
癖といわれれば、そうなのかも。

「じゃあ、徹底的に俺がいないとイケないように、覚え込ませてしまおうか」

炯さんの目が怪しく光る。
そして……。



あのあと、散々求められ続け、最後は完全に意識を失っていた。
というか、私はついこのあいだ初体験を終えたばかりで、さらに昨晩はまだ二回目。
なのに気絶するまでするなんてどうなの?

「りーおん」

布団を剥ぎ、炯さんが私の顔をのぞき込んでくる。

「なんか、怒ってる?」

うるうると目を潤ませて聞かれたら、もーダメ。

「お、怒ってなんかないですよ」

「よかった」

にぱっと実に嬉しそうに笑い、彼は口付けの雨を降らしてきた。

「なー、出張行く前にもう一回、凛音を抱いていいか?」

「は?」

それはさすがになにを言っているのかわからなくて、真顔になる。

「えーっと。
飛行機のお時間とかいいんですか?」

「プライベートジェットだからな、融通は利く」

< 74 / 236 >

この作品をシェア

pagetop