私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「えっと。
じゃあ、これで」

たぶん、これがオススメなのだろうと、一番目立つ場所に載っていたセットを指す。

「このセットを二つ頼む」

「サイドメニューとお飲み物はどうなさいますかー?」

「えっ、サイド?
飲み物?」

どこを見ていいのかわからず、わたわた慌ててしまう。
そんな私をコマキさんはおかしそうに笑っていた。

「サイドはポテトで。
飲み物はコーラでいいか?」

聞かれて、勢いよくうんうんと頷いた。

「じゃあ、両方ともそれでお願いします」

「かしこまりましたー」

「先行って座ってろ」

「えっ、あっ、はい」

軽く顎で店内を指され、おとなしく空いていた席に座る。

……支払い、またさせてもらえなかったな。

服も「悪い子デビュー祝いだ」って買ってくれた。

「お待たせ」

少ししてトレーにポテトと飲み物だけをのせてコマキさんが来た。

「ハンバーガーはあとから持ってきてくれる」

私が不思議そうな顔でもしていたのか、苦笑気味に彼が説明してくれる。

「あっ、そうなんですね」

こういうお店って全部、カウンターで受け取るのかと思っていた。
違うんだ。

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