私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
リングはダイヤを中心に緩くウェーブしていて、それがいいアクセントになっている。

「結納のときって話だったけど、早く凛音に渡したかったんだ」

指環を取り出し、彼が私の左手を取る。
じっと、彼がなにをするのか見ていた。
私の左手薬指に指環を嵌め、持ち上げる。
レンズ越しに私の目を見つめたまま、見せつけるように指環に彼が口付けを落とす。

「……これで凛音は、俺のものだ」

眼鏡を外した彼の顔が、ゆっくりと傾きながら近づいてくる。
私も目を閉じて彼を待った。
ちろりと唇を舐められ、素直に口を開く。
すぐに彼が入ってきて、私を捕まえる。
静かな部屋の中には私たちが立てる、淫靡な水音だけが聞こえていた。

いつの間にか押し倒され、炯さんに見下ろされる。

「……な。
このまま抱いていいか?
凛音切れ起こして死にそうなんだ」

「んっ、あ……」

私の返事など待たず、耳朶を舐め上げながら彼が服の中へと手を侵入させてくる。
それでも。

「……あの。
せめてベッドでお願いします……」

私も先ほどのキスでスイッチは入っていた。
それでも恥じらいとかあるわけで。

「わかった」

「きゃっ」

勢いよく抱き上げられ、その首に掴まる。
そのまま寝室へと連れていかれ、そのあとは意識が飛ぶまで愛された。

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