私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
第五章 これはワルイコトですか?
「城坂さん。
これ、整理お願いできる?」
「はい、わかりました」
声をかけてきた、私よりもかなり年上の女性に返事をして席を立つ。
そのまま、ワゴンを押して事務所を出た。
「えっと……」
背表紙に貼られたシールを確認しながら本を棚へと戻していく。
単純作業だが、書庫は広いのでそれなりに重労働だ。
あれから履歴書を書き直し、炯さんのOKが出てから就職活動を再開した。
彼は外資の営業事務なんていいんじゃないかといってくれたが、ふと自分が司書資格を取った理由を思い出したのだ。
小学生の頃、どんな読みたい本でも見つかる魔法の図書館シリーズが好きで、何度も何度も読み返した。
司書の資格なんて取ってもこれから先の、私の人生には関係ない。
それでも唯一、自分の意思でこの資格を取ったのは、やはりあの物語の影響があったからだろう。
そんなわけで、今度は職種を図書館勤務に絞って探してみた。
いくつかの面接を経て、大学の図書館に就職が決まった。
もっともここは司書資格があるから採用されたというよりも――。
「終わりましたー」
一時間ほどで全部棚に戻し終わり、事務所に戻る。
これ、整理お願いできる?」
「はい、わかりました」
声をかけてきた、私よりもかなり年上の女性に返事をして席を立つ。
そのまま、ワゴンを押して事務所を出た。
「えっと……」
背表紙に貼られたシールを確認しながら本を棚へと戻していく。
単純作業だが、書庫は広いのでそれなりに重労働だ。
あれから履歴書を書き直し、炯さんのOKが出てから就職活動を再開した。
彼は外資の営業事務なんていいんじゃないかといってくれたが、ふと自分が司書資格を取った理由を思い出したのだ。
小学生の頃、どんな読みたい本でも見つかる魔法の図書館シリーズが好きで、何度も何度も読み返した。
司書の資格なんて取ってもこれから先の、私の人生には関係ない。
それでも唯一、自分の意思でこの資格を取ったのは、やはりあの物語の影響があったからだろう。
そんなわけで、今度は職種を図書館勤務に絞って探してみた。
いくつかの面接を経て、大学の図書館に就職が決まった。
もっともここは司書資格があるから採用されたというよりも――。
「終わりましたー」
一時間ほどで全部棚に戻し終わり、事務所に戻る。