【短】made by……
取れないなら後で自分で確認するからもう大丈夫。リミがそう言おうとしたときだった。
「──おい。お前、奥山に何してる」
二人しかいなかったはずの部屋に響く、鷹司とは別の人間の声。
驚いて目を開くと、鷹司の手が、冷ややかな表情をした充希に掴まれていた。
「おやおや坊ちゃま。今日は大旦那様と外でお食事の予定では?」
「話を逸らすな」
「わたくしが彼女と何をしていようと、坊ちゃまには関係ないと思いますが?」
「っ……」
髪に付いたゴミを取ろうとしていたのだと普通に言えば良いのに、鷹司はなぜか煽るような物言いをする。
充希は悔しそうに鷹司のことを睨んだかと思うと、その手を離した。
そして今度はリミの手を取る。
「奥山。ちょっと来て」
何が起きているのか意味がわからない。いったい充希はどうしてそんな怒った表情をしているのだろう。
とはいえとりあえず言われるがままに付いていくことにした。
部屋を出る直前、困惑しつつ振り返って鷹司を見ると、彼は何やらニヤリと笑みを浮かべていた。