【短】made by……
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 広大な天ヶ瀬家の邸宅を、リミは充希に手を引かれるがまま無言で歩いていた。


 彼の行動は謎だが、こうして手を繋いで歩いていると、昔を思い出す。昔も幼い充希がお屋敷の探検だのなんだの言って、リミを連れ回していた。

 そんな懐かしい記憶に浸っていると、充希は突然立ち止まった。


 掃除を既に終えた場所だからか、他の使用人がおらず人気のない廊下。


 その廊下の壁際に、充希はリミを追い詰めるようにして見下ろした。



「……の……は、……だったのか?」


「はい?」



 ぼそぼそとしたしゃべり方のせいで何も聞こえない。聞き返せば、充希はじれったそうにドンと壁に手をついた。



「さっきのキスは、合意の上だったのかと聞いたんだ!」


「……は? キス? 何の話です?」


「してたじゃないか! あの執事と……」



 執事というのはきっと鷹司のこと。しかしキスとは本当に何の話なのだろう。



「充希様は、髪に付いたゴミを取ることをキスと呼ぶのですか?」


「は?」




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