【短】made by……
何ふざけたことを、と言いたげに睨む充希だったが、どうやらリミが本気で言っているらしいことに気が付いたらしい。そっと壁から手を離した。
「……何? もしかして僕の勘違い?」
「少なくとも世間一般の人が呼ぶキスはしていません」
「いや僕もゴミを取ることをキスとは呼んでないけど。でもアイツ、こうやってリミに顔近づけて……。廊下から部屋の中をのぞいたときは完全に……」
納得いっていないらしい充希は、自分が見た様子を再現するようにリミに顔を近づける。
彼の白い肌や長い睫毛、色素の薄い瞳が間近に迫る。
「ちょ、みつきさま……待っ……」
頬が一気に熱を持っていくのがわかる。リミはあまり表情が表に出ないが、決して感情が希薄なわけではない。
本当に唇が触れてしまうのではないかと思うほど近づいたところで、リミはようやく充希の肩を押しのけた。
いつの間にここまで背が高くなったのか。充希はリミが思っていたよりずっと大人になっていたのだと実感させられ、ドキドキと心臓が騒ぐ。