【短】made by……



「たぶんですけど……謀られたんですよ。あの執事に」



 使用人が休憩に使う部屋はいつもなら扉がしまっている。だけどティーセットを運んできた鷹司は、そのまま開けっ放しにしていた。

 髪にゴミが付いていることを変なタイミングで指摘し、それを取るだけなのにずいぶん時間がかかっていた。

 それから、充希に連れていかれるリミを見て何やら愉快そうな笑みを浮かべていた。

 ……冷静に考えてみれば、鷹司の行動に違和感が多すぎる。あの男はリミと充希の微妙な関係を完全に見通した上で何やら小細工をしていたのか。


 充希にもそのことを説明すると、彼は一瞬ぽかんとした後、白い頬を真っ赤に染め上げた。



「待っ……じゃあ僕、まんまと作戦にはまって……ていうかごめん。勝手に手、握ったりして……」


「いえ……別に嫌ではありませんし」



 リミはぽろりと本音を漏らす。

 最近ではずっとリミのことを苗字で呼んでいたのに、いつの間にか昔のような名前呼びに戻っている充希の手を、自分からそっと握った。



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