【短】made by……
許す。許すに決まっている。だって先ほど鷹司が言っていた通り、リミは充希といるためにここで働き続けているのだから。
なのに、そう言えなかった。
「難しい……かもしれません」
「えっ……」
「充希様が奥方を迎え、家庭を築いていく様子をただずっと見守り続けるのは、難しいかもしれません。今だって、貴方がどこぞの女性と親密そうにしているのを見るたびにモヤモヤして……それを態度に出さないようにするだけでいっぱいいっぱいですから」
「待っ……それってもしかして……。リミ、その言い方は……自惚れるよ?」
背中に回された手に、ぎゅっと力がこもった。
リミは充希の腕の中でゆるゆると首を振る。
「貴方の思っている通りの意味です。……でも、だめなんです」
「どうして?」
「大旦那様は、私と充希様が恋仲になることを望みません。そんなことになればそれこそ……クビにされて、引き離されることになりかねませんから」