【短】made by……
充希は将来、天ヶ瀬家を継ぐ者。出自のはっきりとしないメイドなどと一緒になってほしくない。
その気持ちは理解できたが、さすがにすぐには了承できなかった。
距離を置くのは充希が両親のことからもう少し立ち直ってからでも遅くはないはずだ。それに充希とは姉弟のようなもので、惚れた腫れたの関係ではないのだから。
……そう思っているうちに、その日が訪れてしまった。
充希の両親が亡くなって、ちょうど一年が経つ頃のことだった。
「リミ……僕はリミのことが好きだ。君のことを姉だなんて思ったことない。ずっと、一人の女性として好きだったんだ……」
苦しそうに、必死になって想いを伝えてきた充希。リミは頭が真っ白になった。
だめだ。拒否しなくては。
彼にはリミよりも相応しい女性がたくさんいる。リミのことを好きだと思うのは絶対に勘違いなのだ。どうして当主の頼みを聞いておかなかったんだろう。
たくさんの気持ちが頭の中をぐるぐるして、気が付けば言っていた。