恋はしょうがない。〜同僚以上、恋人未満〜
多分それは、古庄が抱えるものよりも深刻な苦悩を伴っているだろう。
それなのに、古庄への想いを自覚し受け入れて、それを古庄に打ち明けてくれた。その時には、きっと相当な勇気が必要だったはずだ。
言い換えれば、真琴が苦しんでいる分、古庄のことを真剣に考えてくれているということだ。
あの夜の暗い職員室で確かめ合った想いを、今は信じるしかなかった。
最近になって、ようやく普通のちょっと仲の良い同僚くらいに話ができるようになった。
だけど、必要以上に近づきすぎてしまうと、真琴の方から逃げていくかもしれない。何より『一年間は付き合えない』と言われてるのに、〝好きだ〟とアピールすることは、真琴の目には〝無神経〟に映るかもしれない。
だから、こうやって長机に隣り合って座るくらいが関の山だった。それでも、古庄は天にも昇るくらい嬉しかった。
何より、真琴に出逢ってからのこのドキドキと胸が高鳴る感覚は、それまでの古庄の人生の中で経験したことないことだった。
そんな感覚に浸っていると、職員会議の議題も終わりに差しかかっていた。隣の真琴は、記録係でもないのに、しきりにペンを動かして会議の内容を書き留めるのに忙しい。こんな些細なところでも手を抜かないのが、真琴らしくて可愛いところの一つだ。