恋はしょうがない。〜同僚以上、恋人未満〜
——病院なんて、絶対嫌だ……!!
女性の受付や看護師の多い病院は、古庄の嫌いな場所の一つだった。
すると、古庄の代わりに教務主任が答えた。
「そうだな。立てないほど痛いんだろう?自己判断で後遺症が残ってもいけないし、病院でちゃんと見てもらった方がいいだろう」
「分かりました。正面玄関に車を回しますので、古庄先生はここで待っててください」
と、古庄の意思は聞かず、真琴は急いで会議室を出て行った。そんな中、古庄は思考を巡らせる。
——もしかして賀川先生が一緒に病院に行ってくれるのか?
そうなれば、話は別だ。自分の深刻な状況も忘れ、病院が嫌いなことも忘れて、古庄の胸はドキドキと高鳴ってくる。自然と口元が緩んでしまうのを、側にいる教務主任に覚られないようにするのが難しかった。
「ギックリ腰はクセになるって聞くけど、初めてかね?」
古庄を放置して行ってしまわない教務主任は、優しい人のようだ。痛みに耐える古庄の気を紛らわせるように、話しかけてくれる。
「こんな感じで痛くなるのは初めてですが、昔ラグビーやってたので、その頃は何度か傷めてますね」
「古傷が歳を取ると痛み始めることもあるからなぁ…」