恋はしょうがない。〜同僚以上、恋人未満〜
「…………」
古庄はその言葉に相槌が打てず、眉間の皺を深くした。
——俺、もうそんな歳になるのか……?
そんな情けない気持ちが、痛みに追い打ちをかける。
慰めにもならない教務主任との話をしていると、程なく真琴が会議室に戻ってきた。
でも、今度は真琴一人ではなかった。戸部先生と学年主任が一緒に駆け込んでくる。
「いや〜古庄くん。ギックリ腰だって?超絶イケメンも形無しだね」
特に戸部は心配するでもなく、そう言って笑っていた。
自分がどれだけ無様かということは、言われなくても古庄が一番自覚している。だけど、真琴が付き添ってくれて病院にいけるのならば、このハプニングも悪くない。こんなことでもないと、真琴はなかなか古庄を特別扱いしてくれない。
「正面玄関まで古庄くんを連れていくぞ。多分今は自力で歩くのは無理だろうから、二人で担ぐしかないな」
学年主任がそう言うと、戸部と二人で古庄の両脇から両腕をそれぞれの肩に乗せて立ち上がらせる。
「……ううっ……!くぅぅ〜……!!」
真琴の前でみっともなく痛がることはしたくなかったが、この寒さにも関わらず、あまりの痛さに古庄の額から汗が流れ落ちる。