恋はしょうがない。〜同僚以上、恋人未満〜




そのまま古庄は引こずられながら、正面玄関まで連れて行かれ、そこで待っていたのは、古庄と一緒にラグビー部の顧問をしている体育教師の塩尻だった。


「古庄先生、大変ですね!でも、ラグビー部御用達の整形外科に連れてってあげますから、大丈夫ですよ!」


古庄が塩尻の車に乗せられると、真琴は古庄の通勤用のリュックサックとコートを渡してくれる。


「古庄先生の机を勝手に触ってしまいましたが、リュックの中に財布も家や自転車の鍵も入ってるみたいでしたので。…あ。それと、今日の新聞も入れてます」


リュックを受け取りながら、古庄の目が点になる……。


——え…?賀川先生が付き添ってくれるんじゃないんだ……。


古庄のガッカリはあまりにも大きくて、その後の学年主任の言葉はほとんど耳に入って来ない。


「今日は病院からそのまま帰りなさい。明日も大事をとって、休んだ方がいいだろう。明後日以降は、様子を見て教頭と話し合って」


そんな言葉がかけられて、自動のスライドドアが閉まっていく。
窓の向こうの不安そうな表情の真琴を、古庄が名残惜しそうに見つめる間にも、塩尻の車は走り出す。


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