学校の中で

帰り道

 約束通り桜の木の前で写真を撮った私達は、家への帰り道を歩いていた。

「ねえ美桜、さっきの先輩たちって?」

「そうだった、話途中だったね。まず、黒髪の先輩が水瀬 駆(みなせ かける)先輩で、茶髪の先輩が早川 結人(はやかわ ゆいと)先輩ね。で、その彼女が水瀬 綾乃(みなせ あやの)さん。」

「そうなんだ。それにしても、早川先輩に本命がいるって驚き…」

「ゆずも?私も二人が付き合ってるって初めて聞いたときには驚いた。」

「なんか漫画に出てきそうな女好きの人みたいだった。」

「ふふ、確かに。二人、幼馴染らしいんだけど、私が中二の時に付き合い始めたんだよね。先輩が所構わず綾乃を溺愛してて、学校の理想のカップルNo.1だったんだって。」

「へ〜。美桜は綾乃さんと仲いいの?」

「うん。中三で同じクラスになって、そこから。ってどうしたの、そんなにニヤニヤして。」

「だって、イケメン彼氏にお兄ちゃんって、漫画みたいなんだもん!でも、お兄ちゃんいいな〜、ゆずも次女に生まれたかった。」

 私は四人家族で、両親と弟がいる(弟の名前は結羽(ゆう))。だから、妹になりたかったな〜と日々思うのです。(甘やかされたい)


「あ、もうすぐ家着く!」

 私の家のあるアパートは、学校から歩いて10分ぐらいのところにあり、美桜の家より手前にある。

「ほんとだね〜、そういえば、お隣さんに挨拶もうした?」

「あ、してないや。」

「ちゃんと挨拶しなきゃだめでしょ〜!」

「うう、でも…」
 
 そう、私は仲のいい人こそ普通に話せるが、あまり話したことがない人と話すのは苦手なのです…

 特に男子かな?すごく緊張…

「大丈夫だって、一軒だけでしょ?何なら私もついてくよ、用事あるし。」

 私の部屋は角にあるので、隣には一つしか部屋がない。

「用事?何かわかんないけど、ついてきてくれるなら頑張る…」

「はいはい、じゃあ明日の放課後ね。」

「はーい、じゃまた明日!」

「また明日!」
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