性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。

✡✡

その夜、もう寝ようかと電気を消した瞬間にインターホンが鳴った。


…こんな時間に非常識な。


確認するまでもなくあいつだろうけど、念のためモニターを見ると、予想通りだった。


「こんな時間に何?」


てか、こんな時間まで仕事してたの?


高熱なのに?


マジで死ぬよ。


「これ」


ん、と突き出された紙袋。


有名な洋菓子店の包み紙が見える。


「え、なに?」


「お礼」


え…。


この人、そんなタイプだったの?


お礼に菓子折り持ってくるような丁寧な人間なんだ。


意外すぎる。


「明日から地方ロケでしばらく帰ってこれねーから。こんな時間に悪いな」


「いや…むしろありがとう」


東雲碧からの初めての贈り物かぁ。


もったいなくて食べられないかもしれない。


「……って、今地方ロケって言った?」


「うん」


どんなブラック企業だよ…。
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