性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
「まだ熱あるんじゃないの?地方ロケなんて大丈夫なの?」


「どうにかなる」


“大丈夫”じゃなくて“どうにかなる”


これは本当にマズイのでは…?


大丈夫じゃなくても大丈夫だって強がる人間が、大丈夫とすら言えない状態。


「病院は?」


「一応薬はもらった。ロケ終わったらちゃんと病院行くから」


「ねぇ、本当に大丈夫なの?今休まなきゃヤバいよ」


ロケがいつ終わるのか知らないけど、泊まり込みってことは長いんでしょ。


その間になにかあったらどうする気?


「……お前ぐらいだ」


「え…?」


吐息まじりの弱々しい声。


細い眉がハの字形になっている。


見るからに気が強そうないつもの表情とは180度違う。


「そうやって心配してくれるの、お前ぐらい」
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